■ Bridge Executive Interview:第11回 大興電子通信株式会社 代表取締役社長 津玉 高秀氏
SIベンダーとして新たな土台作りに向って
--- 創業58年の歴史を持つ大興電子通信株式会社。激変するビジネス環境の中で、SI(システムインテグレーション)ベンダーとしての今後の目標と戦略、それに伴う社内改革など、同社の代表取締役社長である津玉 高秀氏にお話を伺いました。
▶ 取材日(2010年11月 現在)の津玉氏プロフィールはこちら
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--- 企業価値と営業力について
写真右:弊社代表 吉田(以下吉田)「本日はお忙しい中お時間を頂戴いたしましてありがとうございます。御社は再来年に60周年を迎えられますが、営業改革、営業現場のあり方、営業の理想像や課題などについてどのように捉えていらっしゃるか、まずはお聞かせください。」
写真左:大興電子通信株式会社 代表取締役社長 津玉 高秀氏(以下津玉氏)
「商談のやり方も変わってきていますよね。ただ、当社はここ数年、得意なところに集約して、徹底的に利益をあげていこうというやり方をとってきましたが、その結果、売上がドンと下がってきてしまいました。」
「商談のやり方も変わってきていますよね。ただ、当社はここ数年、得意なところに集約して、徹底的に利益をあげていこうというやり方をとってきましたが、その結果、売上がドンと下がってきてしまいました。」
吉田:
「……具体的にはどのように集約されてきたのですか?」
「……具体的にはどのように集約されてきたのですか?」
津玉氏:
「ソフトビジネスへの特化です。ですが、そこにあまりにも注力しすぎたために、ハードの売り上げが低下し、売上全体が落ちてしまいました。ソフトビジネスは時間がかかりますから、思うようなスピードで伸ばすことが出来ませんでした。」
「ソフトビジネスへの特化です。ですが、そこにあまりにも注力しすぎたために、ハードの売り上げが低下し、売上全体が落ちてしまいました。ソフトビジネスは時間がかかりますから、思うようなスピードで伸ばすことが出来ませんでした。」
吉田:
「多くのIT企業はここ10年来、ハードからソフトへ大きくビジネスの軸を移していますね。やはり差別化は難しく、結果としてハードビジネスの粗利が低い状況では、それは必然ですね。そうしたことを背景に、パッケージをベースにしたSIへシフトしようと舵を切ったのですね」
「多くのIT企業はここ10年来、ハードからソフトへ大きくビジネスの軸を移していますね。やはり差別化は難しく、結果としてハードビジネスの粗利が低い状況では、それは必然ですね。そうしたことを背景に、パッケージをベースにしたSIへシフトしようと舵を切ったのですね」
津玉氏:「はい。大興には"得意技"が3つあります。3つとは、"調達のしくみ(PROCURESUITE)"と"生産管理の仕組み(rBOM)"と"小売店舗の業務(RetailFocus)"で、今まではとにかくそこに注力してきました。確かにこの3つは利益率が高いのですが、"大興電子通信"の名前ではなかなか広がりが持てませんし、大手企業などに比べるとお客様の反応も違います。ですからマーケティングを事前にしっかりやっていかなければならなかったのですね。」
吉田:
「つまり選択と集中ですね。御社の場合、この得意技が明確になってきたことは、集中する際にはなくてはならないものですからね。たぶん、そのようなシフトをすると利益率は上がりましたよね?特に得意技でないところへのシフトは最初のフェーズでは投資の段階になりますから。」
「つまり選択と集中ですね。御社の場合、この得意技が明確になってきたことは、集中する際にはなくてはならないものですからね。たぶん、そのようなシフトをすると利益率は上がりましたよね?特に得意技でないところへのシフトは最初のフェーズでは投資の段階になりますから。」
津玉氏:
「はい、確かに利益率は上がりました。しかしながらまだ絶対額が足りません。調達の仕組みも、決まれば大きいのですが、それを仕掛けて成約するまでに1年以上時間がかかりますし、生産管理でも半年以上かかります。ハードの利益率はそんなに悪い訳ではありませんので、今後は"得意技"ばかりに注力していくつもりはありません。これからはお客様にハードの需要もあれば、その受注も決めてこなければならないと思っています。得意商材も今までどおり注力しながら、ハードの売上も伸ばしていく、というのがこれからの目標です。」
「はい、確かに利益率は上がりました。しかしながらまだ絶対額が足りません。調達の仕組みも、決まれば大きいのですが、それを仕掛けて成約するまでに1年以上時間がかかりますし、生産管理でも半年以上かかります。ハードの利益率はそんなに悪い訳ではありませんので、今後は"得意技"ばかりに注力していくつもりはありません。これからはお客様にハードの需要もあれば、その受注も決めてこなければならないと思っています。得意商材も今までどおり注力しながら、ハードの売上も伸ばしていく、というのがこれからの目標です。」
吉田:
「今後、売上も伸ばしていかなければならないということですが、クラウドコンピューティングへの領域への取り組みについてはいかがお考えですか?」
「今後、売上も伸ばしていかなければならないということですが、クラウドコンピューティングへの領域への取り組みについてはいかがお考えですか?」
津玉氏:
「中堅のお客様はクラウドに対してとても敏感に反応していますので、今までのようなSI的な動きに加え、一方でクラウドも注力していかなければならないと考えています。大興はクラウドのセンターを持っていないのですが、そこは富士通のパートナーとして、今後も富士通と連携しながらやっていきたいと思っていますし、子会社のDSR(大興テクノサービス)がIDCのセンターを所有していますので、これもうまく使っていこうと考えています。ただ、大興はそこで勝負するというよりは、ソフトを作り続けてクラウドの中で乗せられる、SaaSのビジネスを行っていきたいと考えています。SaaSビジネスとして、生産管理の部分とリテールフォーカスを載せ、大興としては中堅のお客様にとって最適なクラウド導入をおすすめするというところで、常に先へ先へいきたいと考えています。今はまだ軸足がクラウドという訳ではないのですが、+クラウドといった取り組みは行っていきたいですね。」
「中堅のお客様はクラウドに対してとても敏感に反応していますので、今までのようなSI的な動きに加え、一方でクラウドも注力していかなければならないと考えています。大興はクラウドのセンターを持っていないのですが、そこは富士通のパートナーとして、今後も富士通と連携しながらやっていきたいと思っていますし、子会社のDSR(大興テクノサービス)がIDCのセンターを所有していますので、これもうまく使っていこうと考えています。ただ、大興はそこで勝負するというよりは、ソフトを作り続けてクラウドの中で乗せられる、SaaSのビジネスを行っていきたいと考えています。SaaSビジネスとして、生産管理の部分とリテールフォーカスを載せ、大興としては中堅のお客様にとって最適なクラウド導入をおすすめするというところで、常に先へ先へいきたいと考えています。今はまだ軸足がクラウドという訳ではないのですが、+クラウドといった取り組みは行っていきたいですね。」
吉田:「売るものが変わると営業のスキルも変わってきます。ソリューションの場合、お客様の課題から入ってそれを深堀りして解決していく。クラウドの場合でもソリューションのような話の展開だが、でも時間はかけられない・・・など、売り方が変わってきますので、営業の組織自体もスキルもそれに対応させていく必要があるのではないでしょうか?」
津玉氏:
「今まで大興は、富士通のディーラーという名前でお客様を全部囲い込むというやり方で58年やってきました。再来年は60周年を迎えますが、やり方がずっと旧態依然として変わっていない部分もあります。マーケティングから後方活動から案件出し、何から何まで営業現場でやっている。しかしそのやり方がだんだん通用しなくなる可能性はあると考えています。営業のやり方を変えるには、営業の効率化など、大興の文化自体を変えていけないということです。60期まであと2年半、土台をもう一度作り直したい。より品質にこだわった会社にしていきたいと思っています。それは、人・もの・仕事のやり方の品質をとにかく徹底的に鍛え上げていくということです。その中でも、営業品質をあげるのが最重要項目です。」
「今まで大興は、富士通のディーラーという名前でお客様を全部囲い込むというやり方で58年やってきました。再来年は60周年を迎えますが、やり方がずっと旧態依然として変わっていない部分もあります。マーケティングから後方活動から案件出し、何から何まで営業現場でやっている。しかしそのやり方がだんだん通用しなくなる可能性はあると考えています。営業のやり方を変えるには、営業の効率化など、大興の文化自体を変えていけないということです。60期まであと2年半、土台をもう一度作り直したい。より品質にこだわった会社にしていきたいと思っています。それは、人・もの・仕事のやり方の品質をとにかく徹底的に鍛え上げていくということです。その中でも、営業品質をあげるのが最重要項目です。」
吉田:
「営業の品質をどのような角度から評価していくかが重要なポイントです。本来営業の品質はベースになるスキルがその基盤になると思います。それも製品・サービスに関するスキルと、やはりお客様の課題を気づかせ、整理して合意をするということも重要でしょうね。」
「営業の品質をどのような角度から評価していくかが重要なポイントです。本来営業の品質はベースになるスキルがその基盤になると思います。それも製品・サービスに関するスキルと、やはりお客様の課題を気づかせ、整理して合意をするということも重要でしょうね。」
津玉氏:
「58年の企業文化の中で、先輩が後輩をうまく育てられていないように見受けられます。ちゃんとした教育のもと、土台があった上で個性が出てくればいいのですが、最初から個性のかたまりになってしまっている。お客様との相対し方、商談の仕方などがまだまだ弱いと思っています。お客様の課題を聞いて掘り起こして、きちんと提案をしなければなりませんので、机に座って"こうあるべきだ"と考えるだけでなく、お客様に向かい合い、お客様が求めているところをきちんと把握した上で提案していく。そうするとお客様はもっと大興を頼りにしてくれるようになるはずです。」
「58年の企業文化の中で、先輩が後輩をうまく育てられていないように見受けられます。ちゃんとした教育のもと、土台があった上で個性が出てくればいいのですが、最初から個性のかたまりになってしまっている。お客様との相対し方、商談の仕方などがまだまだ弱いと思っています。お客様の課題を聞いて掘り起こして、きちんと提案をしなければなりませんので、机に座って"こうあるべきだ"と考えるだけでなく、お客様に向かい合い、お客様が求めているところをきちんと把握した上で提案していく。そうするとお客様はもっと大興を頼りにしてくれるようになるはずです。」
吉田:
「ベースになるスキルをまず上げていこうということですね。」
「ベースになるスキルをまず上げていこうということですね。」
津玉氏:
「そうです。そこを徹底的に磨きたい。60期にむけた中期経営計画の中で、品質にこだわり、"問題を抽出する""浮彫りにする""早く解決する""習慣づける"、ということを浸透させるべく、250名の営業に叩き込んでいきます。」
「そうです。そこを徹底的に磨きたい。60期にむけた中期経営計画の中で、品質にこだわり、"問題を抽出する""浮彫りにする""早く解決する""習慣づける"、ということを浸透させるべく、250名の営業に叩き込んでいきます。」
吉田:
「最近は数字にこだわりがなく、"熱"を感じない、という営業スタイルの人が多くなっていると一般的には言われているようですが、御社の場合はいかがでしょうか?やはり経済環境も過去の右肩上がりで、全体的に覇気があり勢いがあった時代とは違い、営業も若干冷めているような気がします。」
「最近は数字にこだわりがなく、"熱"を感じない、という営業スタイルの人が多くなっていると一般的には言われているようですが、御社の場合はいかがでしょうか?やはり経済環境も過去の右肩上がりで、全体的に覇気があり勢いがあった時代とは違い、営業も若干冷めているような気がします。」
津玉氏:「上昇志向というか、上にいきたいという意欲があまり感じられません。営業に限らず全体的に。それは何が原因かというと、上司がきちんと部下を教育せずに、何か問題が起きたら自分が行って自分で解決してしまうということにあると考えています。ですので、自分に部下がついたら、失敗してもその人にやらせなさいと言っています。階層によって役割は違いますが、上の者に対しては必ず"チェックしなさい"と言っています。チェックして指示をすればいいのですが、自分で客先に行ってしまう人もいる・・・。それでは、大興は"組織"になりません。いつまでたっても個人営業。58年間やってきたその部分を変えるのは、"文化を変える"ということで、かなり大変なことだとも思いますが、自分がやらないときっと変わらない。土台を作り直すところまでは徹底的にやるつもりでいます。」
--- 市場に対する戦略について
吉田:
「今後、マーケットにどのようにメッセージを発信するかなど、御社のブランド戦略等についてお聞かせいただけますか?」
「今後、マーケットにどのようにメッセージを発信するかなど、御社のブランド戦略等についてお聞かせいただけますか?」
津玉氏:
「"大興電子"を市場に認知されないと広がらないと思っています。今まで、大興は富士通の下のパートナーのひとつでしたが、ある分野では大興が優勢だと思われなければなりません。ひとつには、クラウドについてはどこにも負けないと思っているし、そこを広めていきたいと考えています。当社は、中堅市場の中でクラウドに対する取り組みは日本一だと思っています。ですから、"日本一"というキーワードで大興ブランドをどうやって評価してもらうか、ということを検討しています。中でも、中堅市場でのお客様満足度No.1を求めてやっていく。そのためにいろんな"日本一"を作っていこうと。クラウドはもちろんのこと、あとは、平均年齢42・3才の大興としては、"日本一ベテランが活気を持って働ける企業"など、そういった"日本一"をつみあげ、訴求していきたいと思います。ベテランの社員は、お客様に対してしっかりとやりとげてくれます。考え方、立ち居振舞いなど、そういったちゃんとした土台をもったベテラン社員が、若い層にいろいろ教えながら、毎日楽しいと言って働ける、そういったIT企業にしていきたい。そうしてさまざまなところで"品質"にこだわるうちに、お客様から"大興に任せたらちゃんとしてくれる"と言われるようになると考えています。」
「"大興電子"を市場に認知されないと広がらないと思っています。今まで、大興は富士通の下のパートナーのひとつでしたが、ある分野では大興が優勢だと思われなければなりません。ひとつには、クラウドについてはどこにも負けないと思っているし、そこを広めていきたいと考えています。当社は、中堅市場の中でクラウドに対する取り組みは日本一だと思っています。ですから、"日本一"というキーワードで大興ブランドをどうやって評価してもらうか、ということを検討しています。中でも、中堅市場でのお客様満足度No.1を求めてやっていく。そのためにいろんな"日本一"を作っていこうと。クラウドはもちろんのこと、あとは、平均年齢42・3才の大興としては、"日本一ベテランが活気を持って働ける企業"など、そういった"日本一"をつみあげ、訴求していきたいと思います。ベテランの社員は、お客様に対してしっかりとやりとげてくれます。考え方、立ち居振舞いなど、そういったちゃんとした土台をもったベテラン社員が、若い層にいろいろ教えながら、毎日楽しいと言って働ける、そういったIT企業にしていきたい。そうしてさまざまなところで"品質"にこだわるうちに、お客様から"大興に任せたらちゃんとしてくれる"と言われるようになると考えています。」
吉田:「中堅市場でのSIの品質が日本一、ということですね。」
津玉氏:
「そうですね。"日本一"をいろいろとつきつめていけば、ブランド力が上がっていくものと思っています。もちろん状況として考えると、"クラウド"との両面でビジネスをさらに進化させていかなければなりません。そうして大興のブランド力を向上させた後、"3つの強み"をもって、次は海外へ目を向けたいと考えています。」
「そうですね。"日本一"をいろいろとつきつめていけば、ブランド力が上がっていくものと思っています。もちろん状況として考えると、"クラウド"との両面でビジネスをさらに進化させていかなければなりません。そうして大興のブランド力を向上させた後、"3つの強み"をもって、次は海外へ目を向けたいと考えています。」
吉田:
「60周年にむけて、御社の今後のさらなるビジネスの発展を楽しみにしております。本日は貴重なお話しをありがとうございました。」
「60周年にむけて、御社の今後のさらなるビジネスの発展を楽しみにしております。本日は貴重なお話しをありがとうございました。」
プロフィール
津玉 高秀(つだま たかひで)氏
大興電子通信株式会社 代表取締役社長CEO兼COO
昭和57年4月 大興電子通信株式会社入社
平成13年4月 当社東京営業部長
平成17年4月 当社上席理事東京支店長
平成18年4月 当社執行役員東京支店長
平成21年10月 当社執行役員名古屋支店長 兼トヨタビジネス営業部長 兼基
盤技術統括部トヨタシステム部長 を経て現在に至る
津玉 高秀(つだま たかひで)氏
大興電子通信株式会社 代表取締役社長CEO兼COO
昭和57年4月 大興電子通信株式会社入社
平成13年4月 当社東京営業部長
平成17年4月 当社上席理事東京支店長
平成18年4月 当社執行役員東京支店長
平成21年10月 当社執行役員名古屋支店長 兼トヨタビジネス営業部長 兼基
盤技術統括部トヨタシステム部長 を経て現在に至る






